
ゲーム音楽のアレンジについて、最近作ったものをまとめて振り返りたいと思います。
今回ご紹介するのは次の4曲になります。
・「サンドメイズ」(「レッドアリーマー 魔界村外伝」より)
・「Save the World」(「Sa・Ga2 秘宝伝説」より)
・「エンディング」(「スーパーマリオランド」より)
・「バトル2」(「ファイナルファンタジーIII」より)
●「サンドメイズ」
まず1曲目は「レッドアリーマー 魔界村外伝」の中から、「サンドメイズ」という曲になります。
原曲はこんな感じ
この曲は、主人公が流砂の流れに巻き込まれた先に辿り着く迷宮(サンドメイズ)のステージで流れるBGMです。
短調の暗い感じ、美しいメロディ、そしてハードなビートという、いかにも「魔界村的」な特徴を持った曲になります。
1ループ30秒にも満たない短い曲ですが、聴きどころがそこかしこに詰め込まれており最初から最後まで飽きる暇を与えません。
この曲のポイントをいくつか見ていきましょう。
・前半部〜うねるベースとキメ
まずこちらは曲の前半部の譜面になります。

前半部分の出だし8小節。ポイントはベースと終わりの7,8小節
この部分、うねるような重低音のベースラインが何しろカッコいい!
ディストーションの効いたロックベースの音がいかにも似合いそうな旋律で、最初から一気に引き込まれます。
そしてもう一つのポイントが7,8小節目に見られる、全パートが同じリズムで音を刻む「キメ」の箇所です。
その直前まで主旋律とサブパートが長めの音符で音を伸ばしているところに、「ダダダッ、ダダダッ」というキメが入るわけです。
静と動の対比と言いますか、緩急のついた構成になっており、いやあもう…たまらないですね。
・後半部〜迷路のようなコード進行
続いて後半部分については、コード進行がポイントになります。

後半部分の出だし8小節。コードに注目して頂きたい
この箇所のコード進行を抜き出すと次のようになります。
後半部1〜8小節のコード進行
E♭m→B♭→Cm7(♭5)→B♭→
B♭→E♭m→B♭→B♭
(根音の表記は省略)
E♭m→B♭→Cm7(♭5)→B♭→
B♭→E♭m→B♭→B♭
(根音の表記は省略)
この部分、3つのコードの間を行ったり来たりして、どこか錯綜しているような印象があります。
さらに図で表現してみるとこのようになります。

後半部のコード進行図解
いかがでしょう、まるで迷路を彷徨っているかのようなコード進行ではありませんか!
「砂漠に出来た迷宮のようなダンジョン」をコードの動きによって表現しているのです。
作曲者がどこまで意識してこのような進行にしたのかは分かりませんが(ひょっとすると私の考え過ぎかも)、今回のアレンジ作業中にこのことに気付いたときには何だか頭を打たれたような気持ちになりました。
こういった小さな(しかし当人にとっては結構大きな)発見が少なからずあることが、曲アレンジの一つの醍醐味だったりします。
・アレンジした結果
そんな「サンドメイズ」をアレンジしたものがこちらになります。
原曲がハードロックをイメージしたような作りになっているので、それに合わせてロックバンド風のアレンジにしてみました。
前述のキメの部分は何しろカッコよくなるように、全体のシリアス感は損なわないように…などが主に意識したポイントです。
何だか良い具合のグルーブが出たのではないかと思います。
「サンドメイズ」アレンジ評価
・原曲の迷宮感:★★★★★
・アレンジのグルーブ感:★★★★☆
・原曲の迷宮感:★★★★★
・アレンジのグルーブ感:★★★★☆
●「Save the World」
2曲目は「Sa・Ga2 秘宝伝説」の中から、「Save the World」という曲になります。
原曲はこんな感じ
この曲は本作のラスボスである「ぼうえいシステム」との最終戦で流れる曲です。
荘厳なイントロに始まり、迫力のあるビート、全編を通じてダークな雰囲気の和音など、90年代のスクウェアのRPG的な魅力が詰まった作品と言えるでしょう。
・怒涛の16分メロ
この曲の中で私が特に好きなのは、次の箇所です。

Aパートの13〜16小節。メインメロディのこの16分音符の連打!
この曲はただでさえ高速なテンポの曲になっています。(BPMで180くらい)
そこへきて、上記譜面にある16分音符のメロディが怒涛のように押し寄せてくる!
泣く子も黙るようなこの展開…まさにラストバトルにふさわしい内容と言えます。
・アレンジした結果
そんな「Save the World」をアレンジしたものがこちらになります。
こちらも前の「サンドメイズ」と同じく、ロックバンド風のアレンジです。
「世界を守るための最後の戦い」という内容の曲ですので、出来るだけ壮大な感じに、そして燃えたぎるようなアツさをもって、というのが意識したポイントでしょうか。
原曲の持つ荘重な感じが何となく出せたのではないかと思います。
「Save the World」アレンジ評価
・原曲の怒涛感:★★★★★
・アレンジの荘重感:★★★★☆
・原曲の怒涛感:★★★★★
・アレンジの荘重感:★★★★☆
●後編に続く
ここまで全4曲中2曲見てまいりましたが、少し長くなってしまったので後編に続きます。