
ゲームボーイ版テトリスで流れるBGMをアレンジしてみました。
この曲はあるロシア民謡を下敷きにしているのですが、なぜテトリスにこのロシア民謡が使われているのかについても考察してみます。
●テトリスについて
ゲームボーイ版のテトリスは、1989年に任天堂から発売されました。
ゲームボーイ用ソフトのローンチタイトルとしてリリースされ、売上本数が歴代トップの実績を持っているようです。
当時の私も親にソフトを買ってもらい、何本もの電池を無駄にしながらプレイに勤しんだものです。
今回は、そんなテトリスの曲アレンジを行なってみたいと思います。
●”A-TYPE” BGMについて
ゲームボーイ版のテトリスでは、プレイ中のBGMをA,B,Cの3タイプから選べるようになっています。
今回アレンジしてみるのはとりわけ私に馴染みの深い”A-TYPE”です。
この曲ですね
この曲はロシア民謡の「コロブチカ」という曲を題材としたものになっています。
これがコロブチカ。邦題は「行商人」。
当時は深く考えずにプレイしていましたが、いま改めて聴きなおしてみると、テトリスというゲームにこれほどまでマッチした曲は他にない気がします。
その理由は2つあります。
@テトリスはロシア発祥のゲーム
まず第一に、テトリスは旧ソ連の科学者が考案したゲームなので、ロシアに所縁のある曲を選ぶのは筋が通っています。
テトリスのタイトルバックにはロシアの聖堂(聖ワシリイ大聖堂)が描かれていたりして、ゲームデザイン的にもロシアを前面に打ち出していますからね。
Aテトリスとコロブチカの共通点
第二に、コロブチカの音楽性とテトリスのゲーム性、この2つがもつ共通点についても見逃せません。
コロブチカはマイナー調の曲で、なんとも深い郷愁や憂いを感じさせるような、そんな内容の曲です。
果てしなく続くロシアの地平、そこをあてども無く旅する行商人・・・この曲を聴くとそんな情景が浮かんできます。
思えばテトリスというのは、随分と孤独なゲームです。
どこまでも延々と落ちてくるブロックを相手に、ひたすらラインを揃えて消し続けるだけの作業・・・
スコアは表示されますが、「この点数まで行ったらゲーム終了!」というものはありません。
(まあ、そういう遊び方も出来るみたいですが)
プレイヤーに根気と能力さえあれば、無限にゲームを続けることが出来てしまいます。
どこまででも行けるけど、どこへも辿り着けないゲーム・・・それがテトリスです。
そんなテトリスが持つ無限性や孤独感を表現するBGMとして、コロブチカはまさに最適な曲と言えるのです。
●アレンジした結果
そんなことを考えながら、”A-TYPE”の曲をアレンジしてみた結果、こちらのものが出来上がりました。
アコーディオンや琴、筝など、民族楽器風の音源を鳴らして伝統音楽のような雰囲気になるよう工夫してみました。
また、コロブチカは裏打ちのリズムがポイントですので、そこを強調するようにしています。
●終わりに
今回は、テトリスの中で印象的な曲のアレンジに挑戦してみました。
そういえば、これだけメジャーなゲームのメインBGMに、短調の曲をぶつけてくる例って他にあまりない気がします。
子どもが遊ぶものですので、明るく親しみやすい曲調にするのが普通の考え方ですが、先に述べたようにテトリスというゲームに一番マッチする曲はこれ以外にない!と考えた上での選曲になっているのだと思います。
アレンジとは別に、選曲の妙について色々と考えさせられた回となりました。