2018年02月12日

スピッツの「ロビンソン」考

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スピッツの曲に、「ロビンソン」という名前のものがあります。

20年以上前の曲ですが、ミリオンセラーとなった曲ですのでご存知の方も多いと思います。

先日、久しぶりにこの曲を聴いたのですが、考えるところがあったので書いてみたいと思います。

●Aメロ
まずこの曲、Aメロの歌詞はこのように描かれます。

新しい季節は なぜかせつない日々で
河原の道を自転車で 走る君を追いかけた
思い出のレコードと 大げさなエピソードを
疲れた肩にぶらさげて しかめつら まぶしそうに


この部分、どこにでもあるような日常の風景が描かれています。
登場人物は 、語り手と「君」 の二人のようです。
語り手である主人公は、日常にどこか倦怠感を抱えている様子が窺えます。

●Bメロ
続いて、Bメロの部分はどうでしょうか。

同じセリフ 同じ時 思わず口にするような
ありふれたこの魔法で つくり上げたよ


ここで曲としては起承転結の「承」の部分に入るのですが、歌詞の中で特徴的なのは「魔法」というフレーズです。

それまで「自転車」「レコード」など日常的な世界を綴っていた中に、突如「魔法」という非現実なワードが導入されています。

そしてこの言葉と同期するように、曲はサビに向けて盛り上がりを加速させます。

魔法によって曲にスイッチが入ったような感じでしょうか。


それと、特筆すべきなのはここで一時的な転調が行なわれている点です。

「ありふれたこのまほうで」の「ま」のメロディーは、この曲本来のキーから音が外れています。

つまり、曲の面からも「非現実」が導入されていることに他なりません。

なんとも絶妙な構成だと思います。

聴く人は、ここで「あれ?何かいま一瞬音がずれた??」と思わされ、引き込まれたまま曲はサビへと突入します。

●サビ
サビの歌詞はこうなっています。

誰も触われない 二人だけの国 君の手を離さぬように
大きな力で 空に浮かべたら ルララ 宇宙の風に乗る


サビの一行目、「国」という単語が出てきます。

魔法によってつくり上げた二人だけの国・・・

Aメロの日常的な世界観から乖離すると同時に、一気にスケールアップしていることが分かります。

二行目になるとさらにスケールが上がって「宇宙」が登場します。

望遠鏡で「河原の道」を覗き込んでいたら、縮尺が上がって「国」となり、果ては「宇宙」にまでピントが変わっているのです。

なんというダイナミズムでしょうか!

しかもこの間、わずか一分半弱です。

これが作詞の草野正宗さんが使う魔法なのでしょうか。


ここでも、曲は歌詞のダイナミクスに同期しています。

徐々に盛り上がりを見せたサビは、「宇宙」が出てくる二行目後半でメロディーが最高音を迎えます。

全体として、まるで精密に設計された腕時計か何かを見ているかのようです。


私は今までスピッツというと感覚的、感性的な曲を作るバンドと思っていました。

しかしこの曲に関して言えばむしろ論理的によく練られた作りという感じがします。

この曲がミリオンヒットになった理由も少し分かったような気がします。

●最後にどうでもいい話
ところでこの曲が出た当時、スピッツの認知度は今ほどではありませんでした。

そのため私の周囲ではバンド名と曲名の間でちょっとした混乱が生じていたのを覚えています。

スピッツの「ロビンソン」なの?ロビンソンの「スピッツ」なの?どっちなの??

今思うとなんとも懐かしいエピソードです。
posted by keno at 00:00| Comment(0) | 音楽
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